黄金時代通信

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【社会】テクノユートピア思想について

こんばんは、ナツです。

今回は僕自身も多くの部分で共感しているテクノユートピア思想について触れようと思います。世の中には多くの主義や思想があります。資本主義、共産主義、民主主義、社会主義全体主義等々……。日本では大きく右翼、左翼、中道として大別されているという認識が僕の中ではありますがテクノユートピア主義、と聞いてピンと来る方は少ないのではないでしょうか? 僕自身もテクノユートピア主義者と言いたいところですが完全に理解している訳ではなくインターネットで見た情報を基に何となくこういう考えで共感できるなーといった具合です。Wikipediaを見てみると日本語は項目すら在りませんでした。なので今回僕なりの解釈を交えつつ日本では一般的ではないテクノユートピア思想について紹介したいと思います。

完全に理解していないので間違っていることがありましたら指摘していただけると幸いです。

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テクノユートピア思想

始めに

テクノユートピアという言葉自体初めて聞いた人もいると思います。英語では『Technological utopianism』と表記します。直訳すると科学技術による空想的理想主義、更にひも解くと科学技術の発達により理想郷ができるであろうことを楽観的に未来予想した考え方と解釈していいのではないでしょうか。英語版Wikipediaによると

Technological utopianism (often called techno-utopianism or technoutopianism ) is any ideology based on the premise that advances in science and technology could and should bring about a utopia , or at least help to fulfil one or another utopian ideal.

と記されています。これを和訳すと、

テクノユートピア主義とは科学技術の進歩がユートピアをもたらす可能性があること、あるいは少なくとも1つのユートピア的理想を達成するのに役立つことを前提としたイデオロギーである。

と書かれています。シンギュラリティ(技術的特異点)という考え方もこのテクノユートピア思想に含まれています。

 

歴史

20世紀はテクノユートピア思想の形成と衰退の時期だと考えられます。産業革命以降科学が台頭して宗教中心の西洋社会は終焉します。テクノロジーの発展とともに人々の生活はより豊かになっていきました。しかし、同時に戦争の形も変わっていきました。二度の世界大戦は人々を楽観主義から突き放しました。

一方でH.G.ウェルズなどのSF作家たちはテクノユートピア主義を推進してきました。

時が経ち、1990年代に入るとドットコム文化が出現、特に米国西海岸のシリコンバレーを中心にテクノユートピア主義の動きが再び活気づき始めました。この時代のテクノユートピア主義者は『デジタルユートピア主義』を掲げ、古典的な右翼左翼といった政治の形から脱し、超越したと主張しました。彼らは政府の規制と自由市場と相容れない立場でした。

2000年代に入るとテクノユートピア主義と現実の間で妥協点を模索するテクノリアリズムが出現しました。

2010年代、現在でもシンギュラリティを始めとしたテクノユートピア主義は存在します。

 

科学技術理想社会、テクノユートピア

さてテクノユートピア思想について簡単に基礎知識をまとめてきましたが実際テクノユートピアとはどんな世界なのでしょう? ここからは僕が勝手ながら想像してみたテクノユートピアの世界を書いてみます。

  • 医療技術

バイオテクノロジー、ナノテクノロジー、ロボット工学の発達により人間の寿命は格段に長くなるのではないでしょうか? IPS細胞を始めとした再生医療、ナノロボットによる手術、サイボーグ技術による肉体の強化は想像できます。聞いた話では2040までには1000年生きるアンチエイジング技術が登場するといいます。

  • 究極のIoT社会

あらゆるものがインターネットと繋がることは間違いないでしょう。私たちが普段から使っている家電はもちろん、家の中にあるものは全てインターネットと接続されるかもしれません。最終的には街の街路樹一本一本にまでインターネットと繋がる社会が到来する可能性もあります。一方でIoT社会はインターネットセキュリティの問題もクリアする必要があります。ある日仕事から家に帰って見ると、誰かのハッキングによって浴槽のシステムが乗っ取られて一面水浸しという可能性もあります。長期的に見るとインターネットセキュリティ業界が大きく成長するかもしれませんね。

  • 一人の人間、一つのAI

現代に生きる私たちの多くがスマートフォンを持っているように一人につき一つのAIが人生をサポートする生活が当たり前になるかもしれません。インターフェースは様々な形が想像できます。スマートフォンのようなモノ、動物のような自ら動けるモノ、アクセサリーなど身に着ける形や歯などにインプラントする人もいるかもしれません。AIの多くは利用者が求めている情報だけでなく、多くの選択肢も提示してくれることでしょう。

  • 無限に近いエネルギー

人類の大きな問題の一つがエネルギー問題でしょう。多くの問題はエネルギーが有限だからこそ起きていると言えます。有限エネルギー社会で生きる私たちはどんな技術で無限のエネルギーを生み出すのか見当もつきません。ですがよく言われているのは常温核融合技術を手に入れれば無限エネルギーを手に入れることができるという話を聞いたことある人は多いと思います。僕が考えているテクノユートピアでは核融合だけでなくさらにその先のテクノロジーも必要だと考えています。無から有を作ることができれば永久機関の完成ですね。0を1にするのは難しいですが、0から1を生み出すことはできます。0を1と-1に分ければいいのです。こういった発想の転換で思いもよらないエネルギーが発見されるかもしれませんね。

テクノユートピアが実現した社会はどうなるのでしょう。無限のエネルギーを手に入れた人間は働く必要が無くなります。最近話題に上がるベーシックインカムが導入され人類はかつて経験したことのない暇が到来するかもしれません。その暇な時間をどう使うかは個人にゆだねられますが人類が堕落していく姿は見たくありませんね。簡単な作業はAIやロボットがこなすことになりそうです。また、社会自体もより複雑で多様になっていくことでしょう。そんなテクノロジーが発達社会では人間の道徳も重要な要素となるでしょう。

 

テクノユートピアに向けて

テクノロジーについては各専門家が日夜努力を重ねて発展していると思います。では最先端の産業や研究に従事していな人たちはどのようにテクノユートピアに備えれば良いのでしょうか? 僕個人の考えでは社会に生きる多くの人がテクノロジーに見合った道徳観を持つことが重要だと考えています。イノベーションという言葉はよく聞くと思いますが、多くの人は技術革新のことと解釈していると思います。間違っていないのですが同時に技術だけでなく新しい考え方や価値観を生み出すことも含まれます。テクノロジーと新しい価値観を受け入れる土壌を作るには道徳の向上が不可欠だと思うのです。

 

 

僕なりに簡単ではありますがテクノユートピア思想についてまとめてみました。

SFの世界を本気で実現しようとしているテクノユートピア思想は批判に晒させることが良くあります。楽観的に物事をとらえることは言い方を変えれば理想主義的で現実を見ていないと言われるのも納得できます。しかし、本気で科学技術を持って社会に貢献したいと考え、実際に研究開発に人生をかけて取り組んでいるテクノユートピア主義者もいると思います。価値観は多様であるべきことは確かです。その中の一つとして社会に受け入れられたらなと思います。