黄金時代通信

サイエンスフィクションをサイエンスに! 未来技術やSFを中心に幅広いジャンルについてまとめていきます。

【地球外文明】宇宙文明の分類 ~カルダシェフスケール~

こんばんは、ナツです。

ここ数日学会発表の準備のため、また忙しくなってきましまた。それと同時に宇宙ビジネスのビジネスプランコンテストに参加することとなったのでその準備にも追われています。

今回は前回お伝えした通りカルダシェフスケールについてです。前回のドレイクの方程式は宇宙文明の存在についての議論でしたが、カルダシェフスケールは高度な宇宙文明の種類分けとなります。

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カルダシェフスケール

カルダシェフスケールとはソ連天文学者、ニコライ・S・カルダシェフが宇宙に発生した文明を発展の度合いに応じて分けた分類方法のことです。基準となるエネルギー利用量に応じて3段階の文明グループを分類します。

カルダシェフスケールでは明確なエネルギー量の定義が存在しますが、ここでエネルギーを表す数式を載せてもいまいち実感が湧かないと思うので、各カテゴリーの文明がどのような状態なのかを紹介したいと思います。

 

タイプ1文明

タイプ1文明は言い換えると惑星文明と言えるでしょう。文明が発生した惑星に存在するエネルギーを余すことなく利用する技術を有した文明をタイプ1文明と定義できます。どのようなテクノロジーを有しているかと言うと、天候を自由に操ることが出来たり、惑星間航行が出来る文明はおそらくタイプ1文明といって問題ないでしょう。近未来が舞台のSF作品は多くがタイプ1文明です。

 

タイプ2文明

タイプ1文明が惑星文明と言えるならタイプ2文明は恒星文明と言えます。タイプ2文明は太陽のような恒星のエネルギーを全て利用出来る文明を指します。太陽のエネルギーとなると太陽光発電が頭に浮かぶと思いますが、現在の太陽光発電はあまりにも小規模すぎて到底恒星の全エネルギーを使っているとは言えません。我々はタイプ2の文明ではないのでどのような世界なのか想像するしかありませんが、恒星を囲むような巨大な構造物でエネルギーを集めて利用するダイソン球を造ることが出来るような文明はタイプ2文明と言えるでしょう。また、タイプ2文明に達していると文明の主は永遠の命を手に入れている可能性が高いと考えられます。タイプ2文明が滅びる可能性は極めて低いですが、まだ完全ではなく超新星爆発の直撃などは耐えられません。

 

タイプ3文明

察しのいい人なら気付いているかもしれませんが惑星文明、恒星文明と来たので、タイプ3文明は更にスケールを上げて銀河文明となります。つまり銀河のエネルギーを隅々まで使いこなせるのがタイプ3文明なのです。かなりスケールが大きくなりましたね。このレベルの文明にもなると銀河間航行だけでなく、何らかの方法で他の宇宙も行くことが可能かもしれません。すなわち宇宙の終焉すら生き残ることができるかもしれません。

 

ここまで聞いて気になりませんか?

私たち人類が所属する地球文明がどれ程なのか。

実はエネルギー利用量から地球文明の等級は0.73といわれています。

カルダシェフスケールに照らし合わせるとタイプ1にも満たない未熟な文明と言えます。

 始めてこの事を知ったとき僕はとても残念に思いました。なんでタイプ2文明の時に生まれなかったんだと。

とは言ってもそんな願いは叶いません。それならばせめて生きてる内にタイプ1文明となった地球を見たいと思いました。そこで現在僕は同じ思いの仲間を集めています。どんな形になるか分かりませんが文明レベルの上昇に繋がる活動がしたいからです。

 

一方で物理学者ミチオ・カクは今後の予測をしています。タイプ1文明は100~200年、タイプ2文明は2~3千年、タイプ3文明は10万年で到達するとしています。どうにかこの予測より早く文明を発展させたいです。なぜなら文明が未熟なほど滅びる可能性が高くなるからです。現在多くの人類滅亡シナリオが予測されていますが、文明が発展するほど滅亡シナリオは消えていきます。

 

ここからは地球をカルダシェフスケールに当てはめた未来がどう言った状態なのか僕なりの予想を書いてみます。

 

タイプ1文明

近未来SF作品の世界。以前紹介したテクノユートピアが実現した世界と僕は考えてます。シンギュラリティを迎え、人類はAIと共存する新たな社会で暮らします。資本主義は主流ではなくなり、大きな政府の下、充実した社会保証と雇用の減少により多くの人が自己表現や創作に力をいれ始めます。社会主義的であり個々を重要視する社会になると予想します。

 

タイプ2文明

恒星文明になると人類の大きな目標に対して極限の効率性をもって実現する社会となると予想します。個の概念は薄れ、全体主義の社会となるかもしれません。ただしナチズムのような強権的な全体主義ではなく、一人の独裁者の意思によらず、意識の共有による個と社会の意見の一致に基づき社会を発展させるシステムが出来ると予想します。その時にはテレパシーが当然であり、考えの共有が容易になってると思います。SNSやシェアリングエコノミーはタイプ2文明社会の礎となりうるかもしれません。確実に言えることは時代が進むにつれて共感や共有の頻度が上がっていることです。タイプ2文明の社会は意識の常時共有により各々が役割を担いながら生きているのかも知れません。また、恒星間航行も可能となり、他の宇宙文明との遭遇の可能性も非常に高くなるかもしれません。スターウォーズ銀河帝国がこのタイプの文明に当てはまると思います。

 

タイプ3文明

再度個の重要性が見直され強大なエネルギーと発展したテクノロジーを有した個人が自由に宇宙で暮らす社会。この頃には寿命という概念はなくなり永遠に行き続けると考えられます。そして今いる人間という形ではないかもしれません。願えば殆どどんなことでも実現可能です。他の宇宙へ移動も出来るでしょう。

 

タイプ4文明

ここであえてタイプ3文明の先に存在する文明について予想してみます。

多元宇宙論によると宇宙と宇宙が接触した時にビッグバンが起こり、宇宙が誕生すると言われています。自らのテクノロジーによって宇宙と宇宙をぶつけて新たな宇宙を作り出す文明があるかもしれません。それはもはや創造主と呼べます。

もしかすると我々が暮らすこの宇宙も誰かが作ったのかもしれません。